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2010年06月26日

テストドライバー成瀬氏事故死のニュースについて

トヨタ テストドライバー成瀬さん事故死 歴代の名車開発
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100625-00000002-maip-soci
6月25日2時37分配信 毎日新聞

日本人テストドライバー事故死=ドイツ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100624-00000146-jij-int
6月24日18時7分配信 時事通信
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たぶん、トヨタ社内は大騒ぎだと思います。いくら有名なドライバーでも特別扱いはされないはずです。少なくとも、この毎日新聞のようなヒーロー扱いはないと思います。

昔、僕が日産にいた頃、かれこれ20年ほど前です。
アウトバーンで試験中に亡くなったドライバーがいました。
中央分離帯を越えて飛び出してきた対向車を避けきれずに正面衝突。

そのとき、社内に展開されたのは「もっと気をつけろ」でした。
たぶん、その部署では「どうやったら避けられたのか」と言う事例研究が連日行われたはずです。

人が亡くなっているのに、と思うかもしれませんが、それがプロの世界です。
対向車が飛び出してきたから、相手が悪いから、車がおかしかったから、で済まされる世界ではありません。避け切れなかったのは技量が足りないから、と考える世界なのです。それが、自分が飛び出したとなれば、どれだけの非難を浴びるか。
僕も事故ったことがあります。通勤中に。ごめんなさい。車のせいにしました。今は深く反省しています。

僕に訓練つけてくれた人は、長谷見選手に運転を教えた人でもありますが、車は壊すな、と最初に教えてくれました。壊したらデータが取れない。
それでも、避け切れないときは、全身の筋肉を硬直させて構えろ、と。どうしてもだめだったら、最後は身を守れと言いました。死んだら本当に何も残らない。何千万円もかけた試作車がパーです。冷たいようですが、それがプロの世界です。

亡くなった成瀬氏のご冥福をお祈りいたします。人間、だれしも失敗はあるものです。それを非難する気はありません。当然、トヨタの社内でもそうでしょう。あくまで、今後の事故を防ぐための活動なのです。

そういう、努力と犠牲の積み重ねの上に、今の自動車技術があります。
その世界に技術者として駆け出しの時期に身を置き、多くを学べたことを誇りに思います。

投稿者 suzuki : 2010年06月26日 07:31

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