テストドライバー成瀬氏事故の解析結果について

投稿者 suzuki : 2010年06月28日 | コメント (0) | トラックバック

YouTubeにも上がっていますね。

http://www.youtube.com/watch?v=EmdqyB_FaSM

http://www.youtube.com/watch?v=30KOwQDctOM

黄色がレクサス、ワイン色がBMWです。
現場は、長いブラインドの、レクサスの側から見て直線の後の左コーナー。
両車とも、既にコーナーに入ってから衝突したようです。
レクサスから見て左側の車線で衝突した模様。ドイツは右側通行ですから、レクサスが対向車線を逆走した形です。

車両の破損状況は、ビデオで見る限り、BMWはBピラーまで屋根が変形しているようです。有効衝突速度(バリア換算衝突速度)はざっと約80km/h
レクサスはFRPボディなのでよくわかりませんが、Bピラー(ドア後端部)の位置のボディが変形。有効衝突速度は80km/h以上。部品の散乱状況から、衝突地点は両車のほぼ中央。従って、同程度の速度で衝突したと思われる。
つまり、両車それぞれ40km/h以上の速度で正面衝突したと考えられる。
(※変形量と有効衝突速度の関係については、使用しているデータが古いので、最近の車体の強度が上がっていることを考えれば、もう少し高めかも)

停止位置の状況は、BMWが大きく左にテールを振っています。レクサスは若干左にテールを振って、左後部をガードレールに接触。
現場には激しいブレーキ痕はなく、ブラインドコーナーでの出会い頭の衝突であったと思われます。あるいは、ABSのためにブレーキ痕が目立たないだけかも。

このコーナーは、レクサスから見て左コーナー、BMWから見て右コーナーですから、衝突前は、レクサスには左回り(反時計回り)、BMWには右回り(時計回り)のヨーモーメントが働いていたはずです。

おそらく衝突は、重心位置を若干ずらしたほぼ全面衝突に近いオフセット衝突だったと考えられます。BMWの重心が若干コーナーの外側にあった。このため、衝突によって生じたモーメントは、BMWもレクサスも同じく右(時計回り)。BMWの衝突前のモーメントと同じ方向なので、BMWが大きく左にテールを振った。これに対し、レクサスは、衝突によって生じたモーメントと衝突前のモーメントが逆方向なので、相殺して、若干左にテールを振る形となった。
仮に完全な全面衝突(重心位置で衝突)であれば、コーナーの途中だから、BMWは左に、レクサスは右にテールを振って止まったはず。

すでにコーナーに入った状態で衝突していることから、レクサスの操舵系統は、衝突前までほぼ正常に機能していたと思われます。また、コーナーのイン側にはみ出していたことからも操舵系統が正常だったと言えます。
ブレーキもしくはエンジン制御系統の不良の可能性に関しても、制御不能になる高速であれば、コーナーの外側にはみ出すはずであり、また、衝突速度からも適度な速度にコントロールできていたと考えられ、両車の車両に不具合はなかったと考えられます。
つまり、事故は、成瀬氏の人為的なミスの可能性が高い。

弘法も筆の誤りと言うか…、残念な事故です。

しかし、このコーナーで40km/hと言うのはかなり抑えた走り方だと思います。
避けられない速度とも思えない。
やはり、車に何か問題があったのか?

依然、真実は闇の中です。


テストドライバー成瀬氏事故死のニュースについて

投稿者 suzuki : 2010年06月26日 | コメント (0) | トラックバック

トヨタ テストドライバー成瀬さん事故死 歴代の名車開発
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100625-00000002-maip-soci
6月25日2時37分配信 毎日新聞

日本人テストドライバー事故死=ドイツ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100624-00000146-jij-int
6月24日18時7分配信 時事通信
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たぶん、トヨタ社内は大騒ぎだと思います。いくら有名なドライバーでも特別扱いはされないはずです。少なくとも、この毎日新聞のようなヒーロー扱いはないと思います。

昔、僕が日産にいた頃、かれこれ20年ほど前です。
アウトバーンで試験中に亡くなったドライバーがいました。
中央分離帯を越えて飛び出してきた対向車を避けきれずに正面衝突。

そのとき、社内に展開されたのは「もっと気をつけろ」でした。
たぶん、その部署では「どうやったら避けられたのか」と言う事例研究が連日行われたはずです。

人が亡くなっているのに、と思うかもしれませんが、それがプロの世界です。
対向車が飛び出してきたから、相手が悪いから、車がおかしかったから、で済まされる世界ではありません。避け切れなかったのは技量が足りないから、と考える世界なのです。それが、自分が飛び出したとなれば、どれだけの非難を浴びるか。
僕も事故ったことがあります。通勤中に。ごめんなさい。車のせいにしました。今は深く反省しています。

僕に訓練つけてくれた人は、長谷見選手に運転を教えた人でもありますが、車は壊すな、と最初に教えてくれました。壊したらデータが取れない。
それでも、避け切れないときは、全身の筋肉を硬直させて構えろ、と。どうしてもだめだったら、最後は身を守れと言いました。死んだら本当に何も残らない。何千万円もかけた試作車がパーです。冷たいようですが、それがプロの世界です。

亡くなった成瀬氏のご冥福をお祈りいたします。人間、だれしも失敗はあるものです。それを非難する気はありません。当然、トヨタの社内でもそうでしょう。あくまで、今後の事故を防ぐための活動なのです。

そういう、努力と犠牲の積み重ねの上に、今の自動車技術があります。
その世界に技術者として駆け出しの時期に身を置き、多くを学べたことを誇りに思います。


ケータイは勉強の邪魔か?

投稿者 suzuki : 2009年02月07日 | コメント (0) | トラックバック

■ケータイは勉強の邪魔?大阪・成績低下、逆に東京・高学力
(読売新聞 - 02月06日 15:04)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090206-00000042-yom-soci
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それ、結論を急ぎすぎやし。
もっと深い問題があるように思います。

心理学の世界で今問題視されている「クローズ人間」と言うのがあります。
人は情報過多に晒されるとその退避行動として外界との接触を拒む「クローズ(閉じた)」行動が目立つようになるそうです。
具体的には、処理の短縮化、情報の排除、コミュニケーションの低減、責任回避、など。
テクノ依存(コンピューター過剰依存)=冗長な人間関係を無駄なものと捉え、ディジタルな(オン/オフの)判断をしてしまう、とも似ています。
そう言えば最近の若者、泥くさいことが嫌いですね。なんでもスマートにこなそうとする。

コンピューターの電子回路にデータを書き込むのは一瞬ですが、人間の脳は内部が化学変化なので学習には時間がかかります。一見無駄に見えることも必要なのです。
さらに、われわれが生きている世の中はアナログです。全てオン/オフで片付けられるものではありません。

この問題は単に子供の学力と言う問題だけではないと思います。
「ケータイへの依存度が高くなれば、学習時間は短くなる」と言う単純な問題ではない、現代人を蝕むもっと深い問題があるように思います。


命の値段

投稿者 suzuki : 2008年04月28日 | コメント (0) | トラックバック

命の値段をつけるのは難しい。

しかし、時として、命に値段をつけなければいけないこともある。
例えば、交通事故の損害賠償。

これは、古くから「ホフマン式」と言う方法で計算される。
詳しくは法律の専門家に聞いていただくとして、要するに、その人の賃金などから逸失利益を計算する式があるらしい。

タグチメソッドの田口玄一博士は、この方法で命の値段を計算することには昔から異を唱えておられる。

例えば、製品の安全率を計算する場合に、ホフマン式で計算すると非常に低い安全率を使ってしまう場合がある。

田口玄一博士が提唱するのは次のような簡単な式だ。
「命の値段=一人当たり平均国民所得×平均余命」
この式で計算すれば、当然ながら、赤ちゃんの値段が一番高い。


「光市事件死者は1.5人」 HPで青学准教授
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/140687/

この准教授、なかなか輝かしい経歴の持ち主のようですが。
あまりその方面の知識は持ち合わせていらっしゃらないようで。


自己正当化

投稿者 suzuki : 2007年12月27日 | コメント (1) | トラックバック

人と言うのは、以前に言った自らの意見に相当縛られるものらしい。

ドアロックかけず小5転落死 「逮捕はおかしい」との声
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071226-00000004-jct-soci


確かに、事故が起きた時の救助と言う点を考えれば、ドアロックなどしない方がいいのだが、高速走行中にドアロックすべきかどうか、は相当難しい問題で、個々の状況に応じて運転者が判断すべき問題だと思う。
今回の件では、現実に事故が起きた、と言うことはマイクロバスの運転手の判断に誤りがあった、と言うことだ。

後続のトラックの運転手についてはどうか?
状況を詳しく見ていないのでこの事故についてはコメントのしようがないが、一般論で言えば、高速道路走行中の前走車から人が落ちてくる事まで想定してはとても走っていられない。
乗用車ならまだ避けることもできるかも知れないが、トラックでは困難だろう。
トラック運転手にとっては災難だったと思う。
が、調べないことには原因はわからない。

当事者双方の逮捕、送検は当然だろう。
送検された、と言うことはこれが略式裁判ではなく、正式の裁判で判断される、と言うことだ。
正式の裁判は、公開が原則である。
むしろ、略式起訴、略式裁判で密室で自動的に量刑が決まることの方が間違っている。
どこかに原因があったのだから、それを明らかにすべきだ。
問題はこれからどのような調査、判断が行われるのかと言うことだ。
国民としてはそちらの方に注目すべきなのである。

確かに、双方の運転手だけが原因ともいえないとは思う。
走っている車の中で席を立って歩き回る子供に育てた親の責任、自動車メーカーとして走行中にはドアが開かないような構造にはできないのか、少なくとも、簡単にドアが開くような構造になっていないか、など、様々な問題はあると思う。

とは言え、自動車と言うもの、それなりの訓練を経て資格が与えれれ、運転できるもので、一般の機械と同じに扱うことはできない。
やはり、運転者の責任は相当にある、と考えるべきだ。


問題は、そう言うことではない。
以前に、自分が言った意見を正当化するために、すでに現実のものとなったこの事故を否定する、と言う自称専門家の態度だ。(私は、はっきり言うが、評論家程度の人間に自動車の専門家を名乗ってもらいたくない。これは自動車が専門の技術士としての意見である。)

そもそも、走行中はドアロックすべきかしないべきか、と言うのは賛否両論がある。
事故が起きた時の救出性だけを考えれば、と言う前提で、ドアロックはしない方がよい、と言えるので、全てに於いてそうだとは言えない。
現実に、事故が起きた時でさえ、ドアが開いて車外放出された事例はある。
そもそも、大きな事故であればドアロックされていようがいまいが、ドアが開かないほど変形することもあれば、ドアロックが壊れて勝手に開くこともある。

事故、と言う特殊な状態にだけ注目して、通常走行時の安全性を無視した意見を言うのは誤りである。
この場合には、走行中にドアが開いた、と言うことが間違いなく事故の原因なのである。


世の中には人と違った奇抜な意見を言う人がいる。
特に評論家と言う人種にその傾向が強い。
人と違った意見を言わなければ、世の中が振り向いてくれないからだろう。
ドアロック一つとってもこれだ。
問題は、その意見に固執して、問題の本質に目をつぶってしまうことにある。

世の中は一筋縄ではいかないものだ。
専門家を自認するなら、もっと広い視野をもってもらいたいものである。


光るクローン猫

投稿者 suzuki : 2007年12月21日 | コメント (1) | トラックバック

韓国の科学者、光るクローン猫を作り出す
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0712/13/news040.html

以前に生物工学をやっている奴と話をしていて、「遺伝子組み換えは設計できるから安全なんですよ。」と言っていたのを思い出した。
これは危険な考えだと思った。

設計できるから安全、と言うのは妄想に過ぎない。
過去、人間はその妄想から何度も過ちを繰り返してきた。

設計とはばらつきの制御である。
それは微小影響因子を捨象する上に成り立っている。
全ての因子を考慮した設計はできない。
それゆえ、想定外の事は必ず起こる。

悪用しようとする奴も必ず現れる。
核を兵器に利用したように、遺伝子組み換え技術は必ず生物兵器に利用される。
更にそれは自然界の本来の生物にも影響する。
核よりもさらにやっかいなものになる。

そうなった時に、誰がそれを止められるのか?


<福岡3児死亡事故>「大上さんは居眠り運転」

投稿者 suzuki : 2007年10月02日 | コメント (0)

福岡市東区の「海の中道大橋」で昨年8月に起きた3児死亡事故の第8回公判で、被告の弁護人は、被害者の大上哲央(あきお)さん(34)が事故時に居眠り運転をしていたと主張した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071002-00000103-mai-soci


私、交通裁判にも関わったことがあるんですよ。
技術士ですから。
そりゃあひどいものでしたね。
専門家が少し見れば見破れるようなインチキのまかりとおる世界ですよ。裁判なんてものは。

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プラグイン・ハイブリッド?

投稿者 suzuki : 2007年09月22日 | コメント (0) | トラックバック

今朝のNHKのニュースでやっていたので興味深く見ました。
なんでも、トヨタのプリウスなどのハイブリッド車を改造するビジネスがアメリカにはあるそうで。
要は、家庭用のコンセントで充電できるように、市販のハイブリッド車を改造するのだそうで。
オーナーは「燃費がよくなった」と大喜び。

だけど、これ、本当に環境に優しいのか?

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機械遺産

投稿者 suzuki : 2007年08月08日 | コメント (0) | トラックバック

YS11、初代新幹線車両…「機械遺産」25件を認定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070807-00000213-yom-soci

機械遺産(日本機械学会のページ)
http://www.jsme.or.jp/kikaiisan/data/list.html

「日本に残る歴史的な機械技術」と言うなら、飛行機はYS-11ではなくて海軍零式艦上戦闘機(通称ゼロ戦)だ。
真珠湾攻撃当時、世界最強の戦闘機である。

と書くと、眉をひそめる人もいるだろう。
もちろん、私は軍事オタクではない。
むしろ、兵器のことはあまり知らない。
戦争を正当化し、美化するつもりもない。

それでも、敢えてゼロ戦を推すのには理由がある。

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勿忘広島・勿忘長崎

投稿者 suzuki : 2007年08月06日 | コメント (0) | トラックバック

62回目の原爆忌である。

…また、広島・長崎への原爆投下が日本を降伏に導いたと言う話が誤りだということは、アメリカのリチャード・ローズの『原子爆弾の誕生』や、イギリスのノーベル賞受賞の核物理学者ブラッケットの『原子爆弾の軍事的並びに政治的意義』を読めばわかることだと、東京工大名誉教授の崎川範行氏も語る。
「そのころ(原爆投下以前、すでに)日本はポツダム宣言の受諾を決定し、降伏を申し入れていたのです」
ともあれ、こうした”戦争”というものの醜悪な素顔を、冷静に凝視めるときがきているようです。
(−神坂次郎、特攻隊員の命の声が聞こえる、p.178)


テロとは何だろう?
「非戦闘員に対する無差別攻撃」がテロだとするならば、史上最大のテロは広島・長崎への原爆投下だ。

もっとも、日本は核武装をしない、と言うのは結果論であって、核の加害者になった可能性もあった。

昭和15年、仁科芳雄博士らは陸軍の要請を受けて原子爆弾研究を開始している。
実際にはウランの分離がうまくいかず、さらに米軍の空襲によって施設が破壊されて、研究は中止された。

作らなかったのではなく、作れなかった、だけのことだ。


いずれにせよ、戦争と言うものは、善悪と言う二元論で語れるものではない。

日本の戦後教育は、戦争を避けてきた。
それは勝ったから正義で負けたから悪だと言う単純なものではないはずだ。

原爆投下によって戦争が終わった、などという、アメリカの論理をそのまま引用するような人が、大臣の中にもいることは異常な事態である。

「今、戦争と言うものの醜悪な素顔を冷静にみつめなおす時が来ている。」

私自身、戦争を知らない世代だが、何かできるはずだと思う。
とりあえず、これを世界に叫びつづけることぐらいは。

 勿 勿
 忘 忘
 広 長
 島 崎


大地震パニックは神話であるらしい。

投稿者 suzuki : 2007年07月17日 | コメント (6) | トラックバック

「大空港」、「タワーリングインフェルノ」、「大地震」…
1970年代にはパニック映画が大流行した。

異常な状況に陥った時、人々がパニックを起こすと言うのは神話であるらしい。
実際には、迅速に行動できず、災いに巻き込まれることの方がよほど多いのだそうだ。

人には、正常性バイアスと言って、危険源を肯定してしまう特性があるらしい。
これは、過度な情報依存によるもので、何かの情報がない限りは、危険を危険と見做せないのだそうだ。

実際に、部屋の中で煙を発生させる実験を行っても、被験者は煙が充満しても平然とその部屋に居続けるのだそうだ。

何か災害が起きた時、落ち着くことは良いことだが、何も行動を起こさなければ災いに巻き込まれることになる。
あわてず、急ぐことが必要なのである。

新潟でまた地震が起きた。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070717-00000028-jij-soci

この地震では、原子力発電所の耐震性に疑問が出ている。
今回の地震では、設計値の2倍以上の揺れを記録したのだそうだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070717-00000067-san-soci設計時には想定していなかった活断層の揺れだと言うことだが。

想定外の出来事は技術にはつきものである。
設計時に想定していなかった活断層が揺れたとしても必ずしも責められる問題ではない。
その点を考慮しても、この東京電力の発表は、技術士の目からはかなり不満だ。

安全性が確認されるまで、原子炉の稼動は停止することは当然として、「問題があるかどうか検討する」のではなくて、設計値を上回る揺れが起こり得ることがすでに問題なのだから、迅速に対策を検討すべきなのである。
今後も余震が懸念されている。
問題があるかどうか検討して…などと、悠長なことを言っている余裕はないはずだ。
さらに被害を拡大する結果にならなければ良いが。

このあたりが既に正常性バイアスなのだと思う。


技術と倫理

投稿者 suzuki : 2006年10月15日 | コメント (0) | トラックバック

 クローンペットの続き
 http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2006/10/post_168.html


 この問題(クローン技術)を、倫理観といっしょくたにして議論する傾向があります。

 生命はこれまで神の領域でした。

 神の領域を侵すことがそのまま倫理に反する行為だとは、私は思わないのです。

 例えば、20世紀には、核連鎖反応の結果、自然界に存在しなかったプルトニウムと言う元素が作れるようになりました。これも神の領域を犯す行為だったのです。

 私の場合は、ウチの猫の代わりのクローンは要らない、と思いますが、欲しいという人がいればそれでビジネスをすることは悪いことだとは思いません。(この点については、賛否両論あるでしょう。)
 確かに染色体が半分しかなく、自然界には存在しない生命体ですが、立派な生命だし、かつての愛猫と同じように愛してあげればいいと思います。

 普通にペットとして猫を飼うのと、どう違うのか、と言うことです。

 例えば、核連鎖反応は、発電に使うことそのものは、倫理上は問題はないはずです。ところが、兵器に使うことは大きな問題があります。

 クローン技術もそうです。
 映画マトリクスのように、クローンで人間を増殖し、発電機として使う、などという行為は言うまでもなく、例えば移植用の臓器を作る目的に利用することは問題の多い行為だと思いますし、そのために、ほぼ完全な生体を作るとなれば、倫理上は許されることではないと思います。
 
 では、クローンで食肉用の家畜を作ることはどうなのか?、マンモスのように、絶滅した種をよみがえらせることはどうなのか?
 など、今後考えられる応用によっては、様々な問題が付きまといます。

 技術と言うのはそう言うものです。
 それそのものには善も悪もありません。
 それを使う人間の思想が善悪を決めるのです。


 言いたかったことは、このビジネスが失敗したからといって、クローン技術そのものについての可能性まで否定して欲しくない、と言うことです。

関連記事:

http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/07/1_1.html
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/09/post_79.html
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/11/post_87.html
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/12/post_91.html


クローンペットはどうして売れなかったのか?

投稿者 suzuki : 2006年10月15日 | コメント (0) | トラックバック

ハイテクの果て
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2006/10/post_169.html
の続き


 中止の理由、「クローンペットを商業化できる技術を開発するまでに至らなかった」と本気で思っているのなら、少し違うと思います。

 技術屋にありがちなのは、「技術が優れていれば売れる」と言う考え方。
 これが間違っていることは、例えばWindowsがMacを駆逐したことでも明らかだし、ビデオのベータマックスとVHSの一件でもそう。

 売れるのは、商品であって技術ではないのです。

 いかに実のない技術でも(WindowsやVHSが実がないと言っているのではないので、念のため)、売り方さえ間違えなければ売れる。

 では、売り方とは?
 顧客、宣伝、価格
 この3つが主な要素だと思います。

 クローンペットは、まず、顧客を間違っている。
 考えてみて欲しいのですが。
 あなたのペットがまだ元気で生きているとして、

 「あなたのペットが死んでから、生き返らせることができます。クローン技術で複製をつくるのです。費用5百万円をお支払いいただければ、DNAを採取します。」

 なんて売り込みに来て、誰が買いますか?
 そんなものよりも、今、現実に生きているペットと自分たちのために5百万円を使った方がよほどいいでしょう。

 ウソだと思ったら、ペットを飼っている人に聞いてみるといいです。
 ほぼ100%、いらない、と言うはずです。
 普通の飼い主は、ペットが死ぬことは考えたくないのですから。 

 これは、保険と同じ。
 よほど安い費用でなければ人は購入しない商品です。
 ※よほど金に困っていなくて、新しいもの好きの人たちは別。

 このビジネスの顧客は、すでにペットを亡くした人。
 悲しみに打ちひしがれている飼い主のところに行って、

 「クローン技術でよみがえらせることができますよ。費用は5百万円。今すぐDNAを採取しないと手遅れになりますよ。」

 と、悪魔がささやくがごとく告げるのです。

 そのための宣伝をすべきだったのです。

 つまり、5百万円をキャッシュで払える財力があり、ペットを飼っている見込み客に、ペットが死んだらわかるようなしかけをしておく。
 例えば、ペット専門の葬儀屋とジョイントするとか。

 それができない人は、このビジネスをすべきではなかったのです。
 それが、このビジネスの本質です。
 命をビジネスにする、と言うのはそう言うことです。

 否定的なつもりはないので、あしからず。
 それで、ペットを亡くした人の悲しみを少しでも和らげてあげられるなら、すばらしいビジネスだと思います。

 ※私は、クローン技術には全く詳しくないので、果たして、死後に採取した細胞からクローンが作れるのかどうかはよく知らない。
 もし、今の技術でできないなら、このビジネスはそもそも成り立っていない。


ハイテクの果て

投稿者 suzuki : 2006年10月14日 | コメント (0) | トラックバック

 世界で初めてクローンペットのビジネスを始めた米カリフォルニア州のベンチャー企業、ジェネティック・セービングス・アンド・クローン(GSC)社が、年末に廃業することがわかった。クローン猫の需要が少なかったのが原因と言う。
 AP通信によると、同社は9月に顧客に送った手紙で、新たなクローンペットの注文は受け付けないと表明し、中止の理由を「クローンペットを商業化できる技術を開発するまでに至らなかった」と説明している。 成功率の向上が課題だったが、うまく行かず採算が合わなかったようだ。
 同社は00年に設立され、飼い猫を亡くした愛猫家らに、クローン技術を使って元の猫のDNAからクローン猫を誕生させて届けていた。計5匹誕生させたが、実際に販売できたのは2匹だけだったという。同じDNAを引き継いでも、毛の模様は本物と同じにはならず、こうしたことも需要が伸びなかった一因とみられる。
 クローン猫は1匹$32,000(382万円)。
 同社は昨年、当初の$50,000(597万円)から値下げしていた。

 朝日新聞、2006年10月13日付

 バイオ関連技術については、もう20年くらい前から何度もブームになりかけては消えています。

 これを読んで、クローン技術のビジネス化は無理と思うか、そろそろ真剣にビジネスを考える時期に来ていると思うか?

 田坂広志先生は、「ハイテクでブームになって、ローテクが儲かる」と仰っています。
 例えば、AIに対する、エキスパートシステム
 遺伝子工学に対する、発酵工学

 私の経験にもあります。
 現代制御に対する、メカトロニクス

 では、クローン技術に対するローテクは?
 このあたりにヒントがあるかも知れません。

 もうひとつ考えるべきことは、そのビジネスは、なぜ、誰もやらなかったのか?ということ。

 誰もできなかったからか?
 誰も買わないからか?
 あるいはその両方か?


 クローン猫については、文部科学省のページの、この記事が参考になります。
 http://www.lifescience-mext.jp/trc/cont/00_www/news/past01/pdf/0004clonecat.pdf

 猫の毛の模様を決めているのは、遺伝子以外の要因の可能性があるそうで。
 まだまだわかっていないことは多いようです。


私は奇麗事が嫌いです(その2)

投稿者 suzuki : 2006年09月13日 | コメント (0) | トラックバック

こんにちは。
鈴木です。
教育改革について。

こんな意見があります。
おっしゃることはごもっとも、なんですが。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn/20060912/20060912-00000699-fnn-pol.html

これは、学校側の競争、と言うことについて述べられた意見ですが、学校内での生徒同士の競争、と言う問題もあります。

競争を否定するところからは、真の教育は生まれてこない、と私は思っています。

哲学者の荻野弘之も、著書、哲学の饗宴―ソクラテス・プラトン・アリストテレスの中で、次のように書いています。

「ものわかりがよいだけの親や教師、口当たりのよい標語を盾に競争も喧嘩も注意も罰則も抑圧した学校教育、ひたすら楽をしようとする社会が、いかなる奇形の精神を飼育培養していくかは、やがて、二十一世紀の日本社会が証明することになるであろう。」

奇麗事では、人間は育たないのです。

谷垣さん、東大法学部出身の元弁護士。
経歴はご立派ですが、社会経験のなさがウィークポイントですね。

その点、安倍さんは、たった3年ですが、サラリーマンの経験があるし、麻生さんは、家業の麻生産業を経営した経験があります。
総理大臣になる人には、学歴、人柄だけでなく、社会経験も豊富な人を選んでもらいたいものです。

関連記事:
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2006/07/post_135.html



マイクロソフトの適正検査

投稿者 suzuki : 2006年08月24日 | コメント (0) | トラックバック

こんにちは。
鈴木です。
学生の皆さんは就職活動の真っ最中ですね。

企業がいろいろな適正検査を実施していますが…

これはほんとかどうかは知りません。
ある人から聞いたのです。
マイクロソフト社の適正検査だと言うのですが…

答えと、その解説がついています。
やってみたい人のために、答えと解説は、文字を白色で書いてあります。
そのままでは読めませんので、読みたい人は、Q.の後から、ドラッグすれば、反転して読めます。

Q1.どうやってキリンを冷蔵庫に入れますか?

A.正解は「冷蔵庫の扉を開け、キリンをいれ、扉を閉じる」です。

この質問ではあなたが単純なことを複雑な方法でしていないかどうかをテストしました。
では次に
Q2.どうやって象を冷蔵庫に入れますか?

A.間違った答は「冷蔵庫の扉を開け、象を入れ、扉を閉じる」です。
正解は「冷蔵庫の扉を開け、キリンを取り出し、象を入れ、扉を閉じる」です。
この質問はあなたの記憶力を試しました。

では次に
Q3.ライオン王が動物たちの集会を開きました。ただ一頭を除いて動物たちはすべて集まりました。
参加しなかったのは、どの動物ですか?

A.正解は「象」です。
  象は冷蔵庫の中ですから。
これによってあなたが総合的に考えることができるかどうかを試しました。

ここまでの三問に正解できなかったのなら、
次の問題はあなたがプロフェッショナルであるかどうかをみる最後のチャンスです。
Q4.狂暴な人食いワニがいることで知られている川があります。どうやって渡りますか?

A.正解は「ただ泳ぐ」です。
ワニはみんな動物の集まりに出ていますからね!
この質問はあなたが理論的に考えられるか試しました。

私の答えを知りたい人はこちら↓

▼ 続きを読む


SEO対策が崩壊する日

投稿者 suzuki : 2006年08月21日 | コメント (1) | トラックバック

とりあえず、この記事を読んでみてください。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/it/internet/15841/

要するに、新しいWebの規格では、ブログのように、サイトからサイトへ自動的にリンクが張り巡らされるような形になる、と言うのです。

具体的には、どのような概念のものか、ちょっとわかりませんが、それが実現するとしたら、YahooやGoogleのような検索サイトは意味がなくなるかも知れません。

現在、SEO対策が重要だと言われています。
SEOとは、検索エンジン最適化、つまり、YahooやGoogleなどの検索サイトの検索結果上位に表示されやすくするテクニックです。

もし、次世代のWebが、検索サイトを不要にするのであれば、当然SEO対策も意味がなくなります。
同時に、ディレクトリ型のポータルサイトも意味がなくなるかも知れません。
ビジネスエクスプレスで高い金払ってディレクトリに登録しても全く無駄、なんて日が来るかも。

結局のところ、テクニックなどと言うものは、SEOに限らず、ほんの些細な技術の進歩で陳腐化するものです。

この、【Web2.0以後のWeb】特集、要チェックですね。

ところで、

「○○○で成功する方法」
「一億稼ぐ○○」
「失敗しない○○○」

世の中には、安易なテクニックがあふれていますね。
中には何十万もするような教材もあります。

現代人は、何も考えなくていい、安易なテクニックが好きなようです。
実際のところ、本質的な部分をおさえておかないと、一時はうまくいくかも知れませんが、成功しつづけることはできないように思います。

商売の本質は、ビジネスモデル。
売れるしくみをいかに構築するか、と言うことであって、ホームページをこう作ればいい、というようなテクニックは、あくまでその応用問題なのです。

残念なことに、本質をついたものはウケない。
ホームページ作成術、とか、SEO対策、といったような小手先のテクニックばかりがもてはやされる世の中です。

なぜそのようになってしまったのか?

私は、情報販売の闇の部分だと思っています。
情報販売とは、私の解釈では、「自分の成功体験を商材にして販売する」と言う商売です。
ビジネス全般についての基本的な知識もない人が、たまたまうまく行った方法を商材にしようとすれば、小手先のテクニックに走ることになるのです。

そして、それは、これまでとは違った切り口を必要とします。
目新しいものでないとウケないからです。
いかに、それが常識を外れた方法であろうとも。

そして、実際にその商材を買ってみるとわかるのですが、その商材を販売している人がやっていることと、その商材で解説されている方法が全然違っていたりするのです。

本質に気づいてしまったあなた、チャンスかも知れませんよ。
本質的なところを、しっかり勉強すれば、たちまちトップに躍り出られるかもしれません。

追伸
これ、結構いいですよ。
eBookの発明者、Mark Joynerの教材。
去年あたりから、日本でも時々見かけるタイプの販売ページの秘密がわかります。

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うわっ、何だこれ…

投稿者 suzuki : 2006年08月05日 | コメント (0) | トラックバック

おはようございます。
鈴木です。
毎日暑いですね。

昨日、大変なことがわかったのです…

昼間、あまりの暑さに、ふと思い立ったのです。
そして、タイヤの温度を測るための温度計で、天井の温度を測ったら、

なんと…

39.5℃

そりゃあ、暑いわ。
しかし、この熱、全部クーラーで冷やすと、いったいどれだけのエネルギーが必要なんでしょう。

 …

面倒なので計算はしませんでした。

でも、このエネルギー、無駄に捨てる手はないですね。
ソーラーパネル、そろそろ導入するかなあ。

と、言うわけで、今日は電気自動車の話題。
(むりやりだなあ)

▼ 続きを読む


アカウンタビリティ(説明責任)の欠如

投稿者 suzuki : 2006年08月02日 | コメント (0) | トラックバック

また、悲惨な事故が起きてしまいました。
埼玉県の市営プールで、流水プールのポンプに、児童が吸い込まれて死亡。

この事故では、ポンプの吸い込み口の蓋が外れている、と言う通報が、あらかじめあった、と言うことのようです。
通報を受けた係員は、特になにもしないまま、事故が発生しました。

松下電工の温風ヒーターの問題、シンドラーエレベーターの問題、パロマの温水器の問題…

この問題は根は同じだと思います。
つまり、アカウンタビリティ(説明責任)の欠如です。

アカウンタビリティと言うと、何か、責任追及のために、真実を洗いざらい説明する責任であるかのように言われていますが、

実は…

99%の企業が知らない、アカウンタビリティの真の意味について、今日は書こうと思います。

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人工知能という幻想

投稿者 suzuki : 2006年07月22日 | コメント (2) | トラックバック

人間と同じ言葉がしゃべれて、同じような動作ができれば、人間と同じと言えるのだろうか?

コンピューターに知能を持たせる、という夢は、コンピューターが地上に現れたときから始まった、と言っていい。
汎用コンピューターを考案したイギリスの数学者、アラン・チューリング(1912/6/23/ - 1954/6/7)は、チューリングテストという方法を考案し、コンピューターの知能を測った。
この方法は、人間とコンピューターを会話させ、人間の質問者を騙すことができたら、そのコンピューターには知能が備わっている、とみなすものだ。

実際には、コンピューターの内部では、機械的に応答するだけの単純なプログラムが走っているだけだ。
それでも人間は騙される。
コンピューターに知能を持たせることが可能である、と信じたのだ。
1950年代のことである。

それから半世紀、世の中はどのくらい進歩しただろう?
確かに、スーパーコンピューターの計算能力は人間に近づいた。
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/07/post_70.html
しかし、人間の脳と同じ働きをするわけではない。

それでも、コンピューターに人間と同じ知能を持たせる、という試みに情熱を燃やしている人たちがいる。
そして、興味は、人間そっくりの動作をする機械(ロボット)へと移っている。

20世紀後半、急速に発展した、メカトロニクス技術によって、単純なやりとりだけではなく、動作まで模倣することが可能になったからだ。(http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200607200094.html

私は、世の中にはさまざまなことを研究する人がいてもいいと思う。
その先にあるものが、結局のところチューリングマシンであっても、何か得るものはあるはずだ。

しかし、すでに科学的に証明された事実は変えられない。

人の脳と、コンピューターは違う。
現在のコンピューターの延長上には、人工知能は存在しない。

これは歴然とした事実である。
新しいことにチャレンジすることはいいことである。
しかし、幻想を抱いてはいけない。

参考文献:
考える脳 考えるコンピューター−ジェフ・ホーキンス
パームコンピューティング社創設者、最新の脳科学研究の立場から、コンピューターペースの人工知能の限界と、脳と同じ働きをする、真の人工知能の可能性に言及。

脳と創造性 「この私」というクオリアへ−茂木健一郎
創造性とは何か、という問い関する本だが、かなりのページを割いてコンピューターと脳の違いについても書かれている。


PCに落雷?

投稿者 suzuki : 2006年07月20日 | コメント (0) | トラックバック

ちょっと新しい試み。
話題の技術用語をできるだけ簡単に解説してみたいと思います。
今日は、PCやOA機器の落雷保護について。

雷が落ちると、PCやOA機器が壊れることはご存知ですね?
電器店に行くと、PCやOA機器を雷から保護する装置が売られています。

実はこれ、間違って使うと、かえって危険なのです。

落雷によるPC故障の原因になるのが、雷サージという奴です。

サージ、というのは、瞬間的な高電圧、とでも言いましょうか。
要するに、どこか近所に雷が落ちると、送電線や通信線に瞬間的な高電圧が発生するのです。
誘導雷、と呼ばれる現象です。

雷というのは、雲に蓄えられた電荷(−)が、地上との間で放電する現象ですが、雲に電荷が蓄えられた間、送電線や通信線にも逆極性の電荷(+)が蓄えられ、落雷によって、雲の電荷(−)が消えると、送電線の電荷(+)も一瞬で消えます。

このとき、送電線を伝って電荷が流れ(つまり電流が生じ)、高電圧が発生するのです。

PCやOA機器などの、半導体を使った機器は、この高電圧によって、壊れることがあります。

一般的には、電化製品は、ある程度の耐サージ性能を要求されています。
また、品質試験の一部としてサージ試験を行っています。
ある程度のサージを加えても壊れないことを確認しているのです。

では、なぜ、PCやOA機器が、雷に弱いのでしょうか?

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株価、下落?

投稿者 suzuki : 2006年07月12日 | コメント (0) | トラックバック

前日終値の \70 安 (-1.16%) で始まりましたね。

今朝から大々的に報道されているので、ご存知の人も多いでしょう。
熊本県警は、車の操舵系の欠陥を8年にわたって放置し、重大事故を発生させたとして、トヨタ自動車の社員を書類送検しました。

詳しい情報がないので、この件に関するコメントは差し控えますが、一般論として、設計とは、品質とはどういうものか、について書いてみようと思います。

確かに、操舵系に不具合のある車は、ハンドルが効かなくなることがあり、危険です。
しかし、「どんな条件下でも絶対に壊れない」ものはつくれない のです。
「市場で折れた。すぐに強化しよう、と言うわけにはいかないのです。」
リレーロッドと言う部品、実は、悪い道を走る車ではよく折れます。

設計とは品質とコストのバランスをとることです

では、品質とは?
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/04/4.html
で紹介した、田口玄一博士が、タグチメソッドわが発想法―なぜ私がアメリカを蘇らせた男なのかで書かれている言葉を借りれば、

「品質」とは「品物が出荷後、社会に対して与える損失である」

つまり、品質が高すぎることも低すぎることも損失であり、設計者はそのどちらも避けなければなりません。
最適な点を見つけるのが設計の仕事であり、ただやみくもに強度をあげればいい、と言うものではないのです。

品質が低すぎることによる損失はわかると思います。事故によって消費者の生命財産が毀損されることによって生じる損失です。
では、品質が高すぎることによる損失とは何でしょうか?
(一般論として)大事故につながる可能性が低く、対策に費用がかかるものまで逐一対策すれば、そのような危険のない大多数の消費者が、無駄な費用を支払うことになる、と言うことです。

技術者の責任、と言うことについては、http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2006/06/post_125.htmlでも書いたとおり、未来に対する責任です。

未来に発生するであろう損失を最小にする、と言うことが設計者の責任なのです。
品質が不足して、重大事故が発生することも、過剰品質にして消費者に無駄な出費を強いることも、どちらも避けなければならないのです。


やはり、書かないわけにはいかないだろう

投稿者 suzuki : 2006年06月22日 | コメント (0) | トラックバック

シンドラーエレベーターの問題についてです。
もちろん、私はエレベーターの専門家ではありません。だから、詳しいことはわかりません。
専門家であったとしても、現物を見ていないのですから、技術的にどんな問題があったか、など、わかるはずがありません。
しかし、一応、技術士です。総合技術監理部門と機械部門の。
この事件から明らかになった、製品の安全性と言う問題について、書いてみようと思います。

昨今、製品事故が増えています。
大手自動車メーカーの欠陥隠蔽も記憶に新しいことです。

私の意見では、この問題の根本的な原因は製造物責任法にある、と言うことなのです。

製造物責任法が欧米に比べて甘いのが原因だ、と言う意味ではないですよ。
製造物責任法の存在そのものが、製品安全性を脅かす事態となっているのです。

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PC2台吹っ飛びました

投稿者 suzuki : 2006年06月20日 | コメント (0) | トラックバック

2000年式と2001年式の古いマシンだったのですが、一台は、使っているうちに頻繁にフリーズするようになり、とうとう立ち上がらなくなってしまいました。
リカバリしてしばらくは動いていましたが、また同じ現象が出て、今度はリカバリの途中で、HDDのエラーが出てしまいました。
もう一台は、液晶のバックライトが切れてしまいました。ひっぱたいたら、HDDが壊れてしまいました(^^;

と、言うことで、とうとう、PCが、これも古いバイオC1と巨大ヒーター(Pen4)内臓のミドルタワーだけになってしまい、バックアップ機がなくなってしまいましたので、一台導入することにしました。
バイオはこれまで出張専用機でしたが、引退して、FAX専用機になりました。
PCがないと何もできない時代になってしまいましたからねえ。便利なのか不便なのか…。


うちの新入社員です。
新しく導入したパナのR4(左)、右は、バイオC1。R4の方が少し大きいが、重さは同じで約1kg。巨大なバッテリーが入っていることを考えると、R4の方がずっと軽い。しかも耐衝撃ボディらしい。ここ数年の技術の進歩はほんとに速い。デスクトップはお決まりのフェラーリ。

また夏が来てしまいますねえ。みなさん、PCの熱対策は大丈夫ですか?
うちでは、今年も夏の間はサイドカバー外して乗り切る予定です(笑)。


論理的

投稿者 suzuki : 2006年06月11日 | コメント (0) | トラックバック

「お金儲け、悪いことですか?」
村上ファンド代表の村上世彰が逮捕直前の記者会見で、言いました。

「お金儲けは、悪いことではない」
からといって、
「村上のやったことは、悪いことではない」
とは限らないのです。

世の中、論理至上主義、とでも言うべき現象が蔓延していますね。
人の脳は、http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/07/post_70.htmlにも書いたとおり、最速のスーパーコンピューターよりも高い計算能力を持っています。論理だけでは、この速度は出せないのです。
論理など、コンピューターのような下等な計算機械に任せておけばいいのです。

とは言え、わが国で、これほど、論理論理ともてはやされるのは、日本人の論理観がずいぶんおかしいからだとも言えます。

さて、冒頭の問題について、論理的に解説してみましょう。

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長年の悩みが解消

投稿者 suzuki : 2006年05月01日 | コメント (0) | トラックバック

いや、困っていたのです。
ようやく解決しました。
終わってみれば、ほんの些細なことでした。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言うか。
餡汁より芋が、、、じゃない、案じるより生むが安し、と言うか。
知識は後からついてくるものですね。

0501.jpg
困っていたのは、これです。(丸印の部分)

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また、データ捏造?

投稿者 suzuki : 2006年04月28日 | コメント (0) | トラックバック

ちょっと過剰反応のような気がしますね。
この記事です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060427-00000207-kyodo-soci

----引用ここから
神戸大教授がデータ捏造 鉄切削工具の特許で
 神戸大工学部の大前伸夫教授(59)が、ダイヤモンドを使い鉄を高精度で切削できる工具の発明で2004年に特許を出願した際、捏造(ねつぞう)した実験データを記載した書類を特許庁に提出していたことが27日、分かった。
 27日夕、記者会見した薄井洋基工学部長は「未実施の実験データを文書に記載したことは誠に遺憾」と述べた。大学側は「捏造と言われても仕方ない」と話している。
 大前教授は大学の判断に従い24日、特許出願を取り下げた。神戸大は調査を終え次第、教授の処分などを検討する。
 神戸大によると、大前教授は04年4月、神戸大助教授ら2人と連名で、電子ビームをダイヤモンドに照射して表面の性質を変えることによって、高精度で鉄を切削できる工具の製造方法を発明したとする特許を出願。
(共同通信) - 4月27日
----ここまで

特許のしくみがよくわかっていないのではないでしょうか?
そう言う人、意外と多いんです。

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ジャンプする卵

投稿者 suzuki : 2006年04月13日 | コメント (0) | トラックバック

http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/07/post_62.htmlにも書いた「宙に浮く卵」の実証実験に、慶応大の下村裕教授らが成功した。
http://juku.keio.ac.jp/pdf/248/frontier.pdf

革新は、常識からは生まれない。これは、歴史が証明している。
モノが宙に浮く、など、少し前までは非常識もはなはだしいことだった。
常識にこだわって過去の延長でしか未来を読めないようではコンピューターと変わりがない。
我々は人間なのだ。
自分の頭でモノを考えてやってみる、と言う習慣をとりもどすべきだ。


ポート25が封鎖されました。

投稿者 suzuki : 2006年03月25日 | コメント (0) | トラックバック

今朝の1時ごろ、せっせとメールを書いて送ろうとしたのです。
そうしたら、突然見たことのないエラーが…。

この記事を書こうと思ったのは、サポートを間違えるとたとえ12年来の顧客でも逃がすと言うことをお知らせしたかったからです。
問題そのものよりも、サポートが大事なんです。
中小企業は、なんでも大手の真似をして、価格競争に突入して、負けてしまいますが、それは当たり前なんですね。
しかし、大手に勝つなんて簡単なんです。
大手にできないことをやればいいんですね。

では、そのいきさつから。
エラーと言うのは、こんなやつです。

タスク'xxx@xxxx.xxx - 送受信中'はエラー(0x800CCC0F)を報告しました : 'サーバーへの接続が中断されました。この問題が引き続き起こる場合は、サーバー管理者かインターネットサービスプロバイダ(ISP)に連絡してください。'

はいはい。サーバー管理者ね。
まずは、レンタルサーバーの管理会社のサポートに…
「あのー、突然メールが送れなくなったんですけどー。」(実際はメールである。)

そうしたら、「サーバーは正常です。」とのありがたいお言葉。
しかし、このサーバー管理会社、夜中なのに返事が来る。素っ気ない対応に少しむっとしながらも、なんて素晴らしいサポート、と感心してしまった。

おっと、話を元にもどして、
正常て言っても、実際送へんやんかー、と言いながら、今度はインターネットサービスプロバイダ(ISP)のサポートに…
…メールを打つも、返事はこない。
まあ、それが普通だ。夜中の2時だし。
で、ISPのHPに…。
さすが、大手だけある。サポートは全部フリーダイヤル。但し、朝9時から夜9時まで、だと。
しかたがない。朝になったら電話するとして、とりあえず、わかる範囲で調べてみることに。

ここで少し解説が必要なのですが、まず、私のメールは、ISPとは違う外部のレンタルサーバーを使っています。独自ドメインですから。
実際にはISPのメールアドレスと言うのがあって、それは普段は使っていない。まずはこれで送ってみると…
見事に送れる。

では、PCの問題か?
と別なPCから送ってみる。
やっぱり送れない。

では、とFOMA M1000から送ってみる。
やっぱり送れない。

…と、そこでひらめいた。
もしや、接続経路を変えたら?
うちでは、通常はBフレッツで光接続、そこにルーターかまして、有線と無線のLANでマシンたちがつながっている。
M1000の場合は、このほかにパケット通信でインターネットにつなげる。
パケット通信で送ってみた。

見事に送れる。

もうわけがわからん。
と、PCにダイヤルアップの設定をして、M1000経由で、PCをパケット通信でインターネットにつないで送ってみた。

やっぱり送れる。

ここまで、整理すると

ISPのメール:
必ず送れる

外部のレンタルサーバー(独自ドメイン)のメール:
光接続:送れない
パケット接続:送れる

つまり、独自ドメインのメールで、光接続でつないだときだけがダメということがわかった。

そうこうするうち、夜も明けて、ISPのサポートページをよおく見ると…。
「突然メールが送信できなくなったお客様へ…」
と書いてある。

そこに、答えがあったのだった。
つまり、ポート25が封鎖されていた。

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大学講義 技術者倫理

投稿者 suzuki : 2005年12月11日 | コメント (0) | トラックバック

http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/09/post_79.htmlでも書いたとおり、今年は、大学で技術者倫理の講義を担当している。
はじめはどうなることかと思ったが、それもようやく最終章を迎えようとしている。
人にものを教える、と言うことは自分自身、とてもいい学びになる、と言うことを今回ほど強く感じたことはない。
元々、技術一筋の私にとって、倫理学ほどなじみのないものはなかった。
この講義をするにあたっては、プラトン、アリストテレスをはじめ、100冊以上の本を読んだ。

倫理とは、そもそも何なのか?
フランクシナトラの「My Way」と言う曲がある。
要するに、倫理とはそれなのだ。

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カーナビ

投稿者 suzuki : 2005年11月20日 | コメント (0) | トラックバック

近所のAUT○BACSでセールをしていたので、衝動買いしてしまいました。
去年の型ですが、05年8月の最新地図付きで\39,800(税込み)、3台限定の広告を見てすぐに行ったら3台ともありました(笑)。
カーナビも手ごろなお値段になりましたね。
ポータブル機なので、もう一台の車とバイクにも付け替えて使う予定。

実は私、15年ほど前に、日産でカーナビの開発をしていたことがあります。このときの発明は、このカーナビにも採用されていますが、何故か日産はこれを権利化していません。(逆に言うと、権利化しなくて期限切れになったので、みんな使っている、とも言えます。知的財産の流通なんてそんなものです。)

閑話休題、すいぶん使いよくなっていて驚きました。
センサーはGPSしかついていないのに、郊外だとほとんど現在地を見失わないし、ルートを外れても文句も言わずに再計算して新しいルートを出してくれます。計算も速い。

この15年にハードウェアで進歩したものと言えば、CPUの計算能力と、GPSの数。それよりも、ソフトの進歩に驚きます。15年前はやりたくてもできなかったことがほとんどできるようになっていますね。その他、使い勝手もより便利になっています。

新商品を開発する時に、ユーザーアンケートをとって、統計解析して、ニーズを分析し…とやるのが一般的ですが、全く新しいものでこれをやっても、いいコンセプトは生まれません。
その製品群が世の中に普及するまでは、一般のユーザーはそのモノを現実のものとして想像することができないからです。

携帯のメールがいい例です。
携帯電話のメールができる前に、「携帯でメールが使えるとしたら?」と言うアンケートをとったとしても、答えは決まっています。「画面が小さくて使えない。」「キーボードがないので文字が打ちづらい。」「電話した方が早い。」etc.
もし、このようなアンケートをとっていたら、i-modeは世に出なかったはずです。

ところが、その製品群がある程度普及すれば、アンケートが効果的です。今の製品の不満点がユーザーの視点で出てくるからです。その改良を積み重ねることで、よりユーザーのニーズに合った製品になります。
イノベーション(革新)とは、全く新しいものごとを発明することだけではありません。むしろ、今あるものごとの改良を積み重ねることです。

商品の売り方(マーケティング)だけではなく、開発の方法についても、商品ライフサイクルを考えることは重要なのです。


今回は、Be-1に搭載。ダッシュボードが低くて広いので、どこにでも搭載できる。


仕事の哲学

投稿者 suzuki : 2005年11月13日 | コメント (0) | トラックバック

2003年発行.ドラッカー名言集として,過去の著作から言葉を抜き出したものだ.原題は"DRUCKER SAYINGS ON INDIVIDUALS"(独立した個人に向けた言葉).

ドラッカーによれば,現在は,個人を基盤とした社会への変革期にあると言う.
20世紀の大量生産社会では,生産システムが社会基盤だった.つまり,生産システムが利益の源だった.その中で,生産効率,品質管理などが重視された.
今後の社会では,個人としての人間そのものが利益を生み出す.だから,個たる人間の責任,成果,生産性が重要になる,とドラッカーは言う.

近年,技術者の倫理が重視されるようになったことも,そのような社会構造の変革が背景にあるのだろう.

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ドラッカー氏は,11日(現地時間),ロサンゼルス郊外のクレアモントで永眠されました.95歳でした.慎んでお悔やみもうしあげます.

ドラッカー氏の言葉の数々は,技術者のあり方としても示唆に富んだものです.これからの技術者はどうあるべきなのか,今,何をなすべきなのか,言葉のひとつひとつをもう一度かみしめたいと思います.


テクノロジストの条件

投稿者 suzuki : 2005年10月05日 | コメント (0) | トラックバック

世の中では、もっと、もっと、MOTとばかりにMOT(技術経営)流行りです。
それだけ、ものづくりの復興が大事だ、と言うことだと思います。
技術士−総合技術監理部門も、このような社会の要請から平成13年度試験から新設されたものです。

実は、もう40年以上も、この問題を研究してきたのがドラッカーなのです。
1957年に、「変貌する産業社会」で初めて技術経営の重要さを示しました。
本書は、変貌する産業社会、他20以上の著作をベースに、技術経営について再編された本です。

やはり、ドラッカーは天才です。
古い著作をベースにしているにもかかわらす、まったく古さを感じません。
この本は技術経営の本質をついています。
それだけに難解ですが、読む価値は十分にあります。

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技術と人間の倫理

投稿者 suzuki : 2005年09月14日 | コメント (9) | トラックバック

まいった。
「技術者倫理」の講義が来週から開講なのだが…まだ準備ができない。

「技術者倫理は大事です。それは善い技術者になることです。良い技術者ではありません。以上」

で終わりにしてやろうか?
では、実も蓋もない。

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記憶力・発想力が驚くほど高まるマインドマップ・ノート術

投稿者 suzuki : 2005年09月12日 | コメント (0) | トラックバック

「アインシュタインからジョン・レノン、ビル・ゲイツまで、天才たちは右脳と左脳を同時に使っている!(本書、帯から)」のだそうです。
マインドマップは単なるノート術ではなくて、脳全体を同時に活性化させる方法だったんですね。
私自身、もう2年くらいマインドマップを書いていて、なかなか満足いかなかったのですが、この本を読んでから少しよくなったような気がします。

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利き脳チェックも面白かった。私は左脳人間だそうです。意外でした。

▼ 続きを読む


夏休み終了!

投稿者 suzuki : 2005年08月19日 | コメント (0) | トラックバック

昨日より、社会復帰しております(笑)。
今年の夏も、どこにも行かず、家ですごしました。
買っただけで積んであった本を読んだり、昔読んだ本を読み返したり。気がついたら本の山にうずもれていました。

ところで、飯を食いながら、めったに見ない昼の番組を見ていたら、とんでもない番組をやっていました。
その番組と言うのは、夏休みの子供番組。
白衣を着たコメディアンみたいな人が、食用油らしき液体にガラスコップをつけて、溶ける、と言うのを実演するもの。
ここまではいいのです。
その後、即座に、「これはね、食用油なんです。ガラスと屈折率が近いので、溶けるんじゃなくて、見えなくなるんですね。」としたり顔で説明するのです。

何がいけないの?と思ったあなた。すでにあり地獄に落ちています。

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ラリー車のサスペンションはなぜ固い?〜自動車工学(3)/カンタン音振講座(2)

投稿者 suzuki : 2005年07月31日 | コメント (0) | トラックバック

さて、自動車工学講座の3回目。
ラリー車のサスペンションはどうして固いのか?

前回、カンタン音振講座(1)では、自動車の音について、お話しました。
今回は、振動についてです。

よく、ラリー車やレーシングカーなどの競技車や、チューニングカーで、サスペンションのスプリングを強いものに換えたり、ショックアブソーバーを換えたりしますね?
これはいったいどんな効果があるのでしょうか?

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アトムの頭脳

投稿者 suzuki : 2005年07月29日 | コメント (0) | トラックバック

また人間に一歩近づいた。
スーパーコンピューターの計算速度である。一挙に10倍。

頭脳の果ての紹介 [ お勧めの本 ] で、スーパーコンピューターの速度について書いた。
その矢先に、地球シミュレーションセンターが、新地球シミュレーターとして、10Pflops(P:Peta=ペタは10の15乗、つまり、T:Tera=テラの1000倍)のスーパーコンピューターを計画中らしいことがわかった。総工費、800億円から1000億円だそうだ。
NewScientist.comが報じた。
http://www.newscientist.com/article.ns?id=dn7733

人間の脳は、頭脳の果てによれば、100〜100,000 T(tera)flops = テラ・フロップスだそうだから、人間の脳の最大速度の1/10まで迫ったことになる。
(※flopsはコンピューターの計算能力を測る単位で、1秒間にどのくらいの回数の浮動小数点演算をこなすか、と言う指標、teraは10の12乗を示す。)

スーパーコンピューターの開発競争も激化しそうだなあ。
それにしても、技術の進歩は目覚しいものがある。
とは言え、人間と同じ速度はまだ出せないし、このコンピューターが車を運転するなんてことも考えられないだろう。
しかし、いつの日か、アトムは生まれるのかも知れない。


音を見る〜自動車工学(2)/カンタン音振講座(1)

投稿者 suzuki : 2005年07月27日 | コメント (0) | トラックバック

さて、自動車工学の2回目。
自動車の振動、騒音について。(※注:音振=音振動の略)
今日は、自動車の音を見る方法について。

音を見るってどう言うこと?
そうです。音は見えません。だからやっかいなのです。
自動車は様々な音を出しています。また、外部の音(他の車の走行音や、風の音)が室内に侵入します。これらの騒音をいかに抑えるか、が静かで快適なドライブにはかかせません。

実際の音は見えませんが、測定して、グラフにすることで、見ることができます。
その方法は?

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電気自動車はいつごろできたのか?〜自動車工学(1)

投稿者 suzuki : 2005年07月26日 | コメント (0) | トラックバック

電気自動車の話題を書いたら、自動車のことをもっと書いてほしいと言われたので、大学で講義した内容を少しわかりやすくしてシリーズでお送りします。
大学の学部レベルですが、高校の物理学がわかっていれば、およそ理解できるように説明します。

第一回は、「電気自動車はいつごろできたのか?」ということで自動車の歴史を振り返りたいと思いますが、

いったいいつごろだと思いますか?

▼ 続きを読む


Scilab 3.1.1がリリースされた

投稿者 suzuki : 2005年07月25日 | コメント (0) | トラックバック

Scilabは、フランス国立 コンピュータ科学・制御研究所で開発された科学技術計算用のフリーソフトウエアです。
MatrixX、Matlabと同様の、マトリクス計算ソフトです。線型方程式を簡単に解くことができます。例えば、制御系の設計・解析、音・振動解析が簡単に行えます。

このすばらしいソフトウエアは無償で使うことができます。但し、サポートはありませんし、ドキュメントは英語とフランス語だけです。

Windowsだけではなく、Linux,HP-UX,Solaris,MacOS-Xの各プラットフォーム用があるようです。(私はWindowsしか試していません)

そのScilabの最新バージョンがリリースされました。
ダウンロードは、Scilab ホームページへ。

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頭脳の果て

投稿者 suzuki : 2005年07月21日 | コメント (0) | トラックバック

とうとう再版されました。
私たちの脳の知られていない能力とそれを用いた加速学習の方法について書かれた本です。
アマゾンマーケットプレイス(古本)で、一時は1万円以上の高値がついた本です。

実は、私はこの日本語訳が手に入らなかったので、原書で読みました。
やっぱり日本語で読めるっていいですね。早速注文しましたよ。
有名な本なので、売り切れ必至です。お早めに。
って言うか、買わないと後悔します

4877711465頭脳の果て
ウィン・ウィンガー リチャード・ポー 田中 孝顕

きこ書房 2005-07-22
売り上げランキング : 177

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原書で読みたい人はこちら。

076150186XThe Einstein Factor: A Proven New Method for Increasing Your Intelligence
Win Wenger Richard Poe

Prima Pub 1995-11-01
売り上げランキング : 52,311

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技術倫理〈1〉

投稿者 suzuki : 2005年07月19日 | コメント (0) | トラックバック

著者のCaroline Whitbeckは、ボストン大で哲学修士、MITで哲学博士を取った哲学者だ。現在は、ケース・ウェスターン・リザーブ大学ビーマー=シュナイダー倫理学特別教授である。(本書、著者略歴から)
技術倫理の文字通り第一人者である。

技術倫理について何か一冊、といわれたら迷わずこの本をお勧めする。
前半は、用語の定義から入るのでやや難解で読みづらい部分もある。後半は、ケーススタディで構成されていて、読みやすい。

スペースシャトル・チャレンジャーの事故についても載っている。
このケースは様々な技術倫理関係の書物で取り上げられているが、技術倫理問題として最初に取り上げたのは、Caroline Whitbeckだ。

4622041197技術倫理〈1〉
C. ウィットベック Caroline Whitbeck 札野 順 飯野 弘之

みすず書房 2000-12
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西堀流新製品開発―忍術でもええで

投稿者 suzuki : 2005年07月16日 | コメント (0) | トラックバック

少し前に読んだ本です。
西堀 栄三郎先生の名著。昨年、生誕100周年記念で復刊されました。
新製品開発に必要な知識、実際、心構え、組織論など、全て網羅されています。

製品開発について勉強したい、と言う人には、真っ先にお勧めします。

うしろ1/4ほどは、西堀先生生誕100周年に寄せて、と言うことで、新製品開発教室(西堀教室)で学んだ人たちのの寄稿が掲載されている。これもとてもいい。

西堀教室のような教室、今、あるといいですね。

4542503313西堀流新製品開発―忍術でもええで
西堀 栄三郎

日本規格協会 2003-11
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電気自動車が速いわけ

投稿者 suzuki : 2005年07月15日 | コメント (0) | トラックバック

この前、宙に浮く卵で電気自動車が速いのは当たり前だ、と書いた。
その理由を書くことにしよう。

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宙に浮く卵

投稿者 suzuki : 2005年07月13日 | コメント (0) | トラックバック

「ゆで卵を毎秒30回転させると重力に反して宙に浮く」−慶應義塾大学の下村裕教授らが予測した現象を神戸大学海事科学部西岡俊久教授らのグループがシミュレーションと実験で実証した。(詳しくは神戸大学のサイトへ。)

この発表を知って思い出した言葉がある。
「この受賞を契機にして、産業に役立つといったものではない、見返りのない基礎研究が、もっと推し進められたらと思う」
ノーベル物理学賞の小柴昌俊博士、受賞時のコメントである。


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ITコンサルタントが儲からない理由

投稿者 suzuki : 2005年07月09日 | コメント (0) | トラックバック

まずは、こちらのページをどうぞ。
http://www.atmarkit.co.jp/fbiz/cinvest/opinion/qa/qa23.html

結論として、「ITコンサルタントの看板を下ろす」と言うのはいいとして、理由がちょっと不明確だな。
はっきり言いましょう。

「ITってそれほど大事じゃないんです」

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人とくるまのテクノロジー展

投稿者 suzuki : 2005年05月19日 | コメント (0) | トラックバック

picture

こんな車がありました(^^) やっぱりラリー車のDNAを持った車はいいですね.
テクノロジーと言う言葉は,技能をあらわす「テクネ」に体系化された,と言う意味の「ロジー」をつけた言葉で,18世紀の産業革命で発明されたそうです.
それまでは,テクネは,「秘伝」と言う意味を持ち,技能を身につけるには,経験を積む以外にはなかった. (P.F.ドラッガー,プロフェッショナルの条件

90分でわかるプラトン

投稿者 suzuki : 2005年05月10日 | コメント (0) | トラックバック

なぜプラトンなのか?
理由は2つある。
2005年04月21日の日記で紹介した、小さな会社☆社長のルール で、竹田陽一氏が、イデアと企業理念の関係について書いていたからだ。

もう一つは、今、教えている大学から、「鈴木先生、今年は、技術者倫理を教えて下さい」と言われたからだ。
それ以来、「技術者倫理」と言う本を読み漁った。ほとんどは、技術倫理〈1〉の焼き直しであったり、中には、儒教的な道徳観と勘違いしているものまである。

「やはり、アリストテレスを勉強しないといけないな。」

そして、師匠のプラトンに遡ったのである。「徳は教えられるか」と言うテーマは、プラトンの師匠である、ソクラテスからのテーマだったのだが、ソクラテスは書を残しておらず、プラトンを読むしかない。

もちろん、90分でプラトンがわかるわけはない。しかし、プラトンを知るために、どの書から手をつければいいのか、と言う、道案内には最適の本である。

490084527290分でわかるプラトン
ポール ストラザーン Paul Strathern 浅見 昇吾

青山出版社 1997-01
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タグチメソッドわが発想法―なぜ私がアメリカを蘇らせた男なのか

投稿者 suzuki : 2005年04月23日 | コメント (1) | トラックバック

技術と経済の関係とは? 4000通り以上の実験をたった18通りで済ませる方法。 品質改善の本質とは? 本当の品質保証部の任務とは? 「絶対に不良品は作ってはならない」のか? 「欠陥」の本当の定義…。
全てのエンジニア必携と言っても過言ではない。

タグチメソッドわが発想法―なぜ私がアメリカを蘇らせた男なのか
田口 玄一

経済界 1999-10
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考える脳 考えるコンピューター

投稿者 suzuki : 2005年04月17日 | コメント (0) | トラックバック

記憶とは何か?知能とは?学習とは?創造とは?
ニューラルネットワークは人間の脳になれるのか?
人口知能は実現できるか?
パームコンピューティング社創設者でコンピュータの専門家、生物物理学者でもあるジェフ・ホーキンス氏が人間の脳とコンピュータの違い、人工知能についてユニークな切り口で解説する。

考える脳 考えるコンピューター
ジェフ・ホーキンス サンドラ・ブレイクスリー 伊藤 文英

ランダムハウス講談社 2005-03-24
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定義

投稿者 suzuki : 2005年04月15日 | コメント (0) | トラックバック

科学技術、とはどういう意味だろうか?
サイエンス・テクノロジーと言う言葉があるが、これは正しい英語なのだろうか?
エンジニアリングとは何だろうか?

科学技術について何か書くにあたって、これらの用語を定義しておく。これはあくまで私の考えであって、そうではない、と言う意見もあるだろう。
それはそれでいいと思う。
ここに私が何か書くとき、これらの言葉は、この意味で使っている、と思っていただければよい。

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