« 勿忘広島・勿忘長崎 | メイン | お知らせ »

2007年08月08日

機械遺産

YS11、初代新幹線車両…「機械遺産」25件を認定
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070807-00000213-yom-soci

機械遺産(日本機械学会のページ)
http://www.jsme.or.jp/kikaiisan/data/list.html

「日本に残る歴史的な機械技術」と言うなら、飛行機はYS-11ではなくて海軍零式艦上戦闘機(通称ゼロ戦)だ。
真珠湾攻撃当時、世界最強の戦闘機である。

と書くと、眉をひそめる人もいるだろう。
もちろん、私は軍事オタクではない。
むしろ、兵器のことはあまり知らない。
戦争を正当化し、美化するつもりもない。

それでも、敢えてゼロ戦を推すのには理由がある。

ワシントン・ダラス国際空港の近くに、スミソニアン航空宇宙博物館は、ある。
そこには、あのエノラ・ゲイが展示されている。
エノラ・ゲイは、広島・長崎に原爆を落としたB29の固有呼称であり、そのものの機体だ。

これに対しては、「原爆の被害も一緒に示すべきだ」と言う意見があるが、スミソニアンがアメリカの博物館である以上無理な話だ。

多くのアメリカ人にとって、原爆を落としたことを含め、エノラ・ゲイは(多くのアメリカ兵の命を救った)誇らしい成果なのである。

その銀色に輝く機体は、ターボーチャージャー付きエンジン、完全気密コックピットなど、航空技術の輝かしい1ページであると同時に、地上に舞い降りた悪魔の姿でもある。

それは、見るものが決めることだ。

戦争は、善悪の二元論では語れない。
勝ったから正義で、負けたから悪だと言うものではないはずだ。

戦後のわが国の教育は、戦争を避けてきた。
戦争だけでなく、戦争に関わった全てを否定してきた。

わが国の平和と発展を願って散っていった若く純粋な精神をも否定してきたのだ。


遺産には正の遺産と負の遺産がある。

原爆ドームがユネスコの世界遺産に登録されているように、負の遺産についても、語り継いでいかなくてはならない。

「ゼロ戦は、当時世界最高の戦闘機であって、真珠湾奇襲成功に大いに貢献した。」

誇らしげに書く必要はない。
それは歴史的な事実であり、負の遺産として、語り継ぐべきものだ。

同時に、戦争末期に日本軍が開発した特攻兵器、人間魚雷「回天」、特殊潜航艇「海龍」、有人爆弾「桜花」も加えるべきだ。

人間を兵器の一部にするなどと言う悲しいことが行われていた、と言う事実は残さなければならない。
そう言う兵器すら開発してしまう。

それが戦争と言うものだ。


桜花もまた、スミソニアン航空宇宙博物館に展示されている。

投稿者 suzuki : 2007年08月08日 08:28

▲このページ [ 機械遺産 ] の先頭へ
◀前のページに戻る

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:

コメント

コメントしてください

記入された内容はそのまま公開されます。公開を希望されない項目は記入しないで下さい。




保存しますか?