プロフィール
論理的
「お金儲け、悪いことですか？」
村上ファンド代表の村上世彰が逮捕直前の記者会見で、言いました。
「お金儲けは、悪いことではない」
からといって、
「村上のやったことは、悪いことではない」
とは限らないのです。
世の中、論理至上主義、とでも言うべき現象が蔓延していますね。
人の脳は、http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2005/07/post_70.htmlにも書いたとおり、最速のスーパーコンピューターよりも高い計算能力を持っています。論理だけでは、この速度は出せないのです。
論理など、コンピューターのような下等な計算機械に任せておけばいいのです。
とは言え、わが国で、これほど、論理論理ともてはやされるのは、日本人の論理観がずいぶんおかしいからだとも言えます。
さて、冒頭の問題について、論理的に解説してみましょう。
村上の論旨はこうです。
「私のやったことは、金儲けだ」
「金儲けは、悪いことではない」
∴「私のやったことは、悪いことではない」
一見、正しいようですが、実は違います。
「金儲けは、悪いことではない」は、「全ての金儲けは、悪いことではない」と言う意味ではないからです。
論理学的に証明しましょう
つまり、「金儲けは、悪いことではない」は、論理学的には矛盾する命題なのです。
「はあ？何のことかわからなくなったぞ？」と思われたかも知れません。
しかし、簡単なことなのです。
つまり、論理学（形式論理学）における、矛盾の定義とは、
矛盾律：「ＡはＢである」「ＡはＢではない」と言う２つの命題は、必ず一方が成り立ち、同時に成り立たない、と言う規則のことです。
つまり、「猫は動物である」「猫は動物ではない」は、必ず一方が成り立ち、同時に成り立ちません。
（以上、例は、数学嫌いな人のための数学―数学原論
まだ何かもやもやしていますね？
すっきりさせてあげましょう。
「金儲けは、悪いことではない」
「金儲けは、悪いことだ」
は、矛盾する（矛盾律に反する命題）のです。
こういうことです。
「金儲けの中には、悪くない金儲けと、悪い金儲けがある。」 つまり、株で金を儲けるのは悪いことではないが、インサイダー取引は、（法律が正しいとするならば）、悪い金儲けだ、と言うことです。
つまり、
「金儲けは、悪いことではない」
「金儲けは、悪いことだ」
は、
両方が同時に成り立つ命題＝矛盾する命題なのです。
（形式論理学的には、「必ずどちらか一方が成り立ち、同時に成り立つことがない」と言う、矛盾律に反する命題）
従って、
Ａ「私のやったことは、金儲けだ」
Ｂ「金儲けは、悪いことではない」
Ｃ∴「私のやったことは、悪いことではない」
は、Ｂの前提が誤りなので、誤りです。
あ〜すっきりしましたね。
別な証明方法もあります。
特称命題と全称命題を使っても証明できますよ。
論理力に自信のある人は、やってみてください。
わからない人、数学嫌いな人のための数学―数学原論
この本１冊で論理は全てＯＫです。他の本は読む必要はありません。
投稿者 suzuki : 2006年06月11日 09:19
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