棘の道を歩く人たち
ソニーと松下電器が相次いでレンズ交換式ディジタル一眼レフカメラの市場に参入すると発表しました。
松下電器のDMC-L1はオリンパスとの共同開発で、ライカレンズが使えることが特徴。
ソニーのαは、元コニカミノルタ(さらにその元はミノルタ)のαの資産をそのまま継承。
いずれも、手ぶれ補正機能などのハイテク機能で老舗のカメラメーカー2社(キャノン、ニコン)に対抗。
さて、ここからが本題なのですが、この市場、いったいいつまで成長するのか?
果たして今参入することが最適なのか、という疑問がわいてきます。
松下の中村社長によれば、06年の市場規模は70万台(出荷)と予想しているらしいのですが…。
ここで、レンズ交換式ディジタル一眼レフの出荷台数の推移を見て見ましょう。
カメラ映像機器工業会(CIPA)統計データによる。
このデータから見てわかるように、確かに右肩上がりの急成長市場であることは確かです。
このままの成長が続けば、06年は70万台も夢ではなさそうですが…
私の予想では、この市場は、06年は05年とほぼ同じ、07年から減少し、08年には成熟期に達すると見ています。
実は、レンズ交換式ディジタル一眼レフカメラは、統計データの取られていない、2001年12月に市場投入されたEOS-1Dという機種がほぼ最初の機種と見ていいでしょう。
そのデータを追加して、上のグラフをじっと見ていると、すでに成長期の盛りは過ぎている、ということが見えてくるのです。
さて、今が成長期の真っ盛りだとして、これから参入するメーカーは何に気をつければいいでしょうか?
あと1年半の猶予しかありません。
2007年の末までの間に、少なくとも2位のポジションを確保しなければ予選1次リーグで敗退です。そのあとに待っているものは、激しい価格競争、ということになり、おそらく余裕で1位をキープするキャノンはそれでも十分なブランドを確保するでしょうから、2位に入ることが生き残りの絶対条件です。
そして、2位にはニコンがいます。
報道関係のプロユースで絶対の信頼とシェアを誇る2社の間に割って入ることが、果たして新規参入の2社にできるか、それほどの信頼を得られるか、が鍵になります。
別な戦略は、最高級機市場は捨てて、大衆向けに低価格帯に特化した機種で新たな市場を築くことですが、この市場も、プロユースの動向に影響されますから、決して楽な市場ではありません。
市場の成長は、単なる統計関数では予測できないのです。
そして、成長カーブを見誤った会社は、棘の道を歩むことになるのです。
投稿者 suzuki : 2006年06月23日 09:21
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