クローンペットはどうして売れなかったのか?
ハイテクの果て
http://blog.suzukiyutaka.com/archives/2006/10/post_169.html
の続き
中止の理由、「クローンペットを商業化できる技術を開発するまでに至らなかった」と本気で思っているのなら、少し違うと思います。
技術屋にありがちなのは、「技術が優れていれば売れる」と言う考え方。
これが間違っていることは、例えばWindowsがMacを駆逐したことでも明らかだし、ビデオのベータマックスとVHSの一件でもそう。
売れるのは、商品であって技術ではないのです。
いかに実のない技術でも(WindowsやVHSが実がないと言っているのではないので、念のため)、売り方さえ間違えなければ売れる。
では、売り方とは?
顧客、宣伝、価格
この3つが主な要素だと思います。
クローンペットは、まず、顧客を間違っている。
考えてみて欲しいのですが。
あなたのペットがまだ元気で生きているとして、
「あなたのペットが死んでから、生き返らせることができます。クローン技術で複製をつくるのです。費用5百万円をお支払いいただければ、DNAを採取します。」
なんて売り込みに来て、誰が買いますか?
そんなものよりも、今、現実に生きているペットと自分たちのために5百万円を使った方がよほどいいでしょう。
ウソだと思ったら、ペットを飼っている人に聞いてみるといいです。
ほぼ100%、いらない、と言うはずです。
普通の飼い主は、ペットが死ぬことは考えたくないのですから。
これは、保険と同じ。
よほど安い費用でなければ人は購入しない商品です。
※よほど金に困っていなくて、新しいもの好きの人たちは別。
このビジネスの顧客は、すでにペットを亡くした人。
悲しみに打ちひしがれている飼い主のところに行って、
「クローン技術でよみがえらせることができますよ。費用は5百万円。今すぐDNAを採取しないと手遅れになりますよ。」
と、悪魔がささやくがごとく告げるのです。
そのための宣伝をすべきだったのです。
つまり、5百万円をキャッシュで払える財力があり、ペットを飼っている見込み客に、ペットが死んだらわかるようなしかけをしておく。
例えば、ペット専門の葬儀屋とジョイントするとか。
それができない人は、このビジネスをすべきではなかったのです。
それが、このビジネスの本質です。
命をビジネスにする、と言うのはそう言うことです。
否定的なつもりはないので、あしからず。
それで、ペットを亡くした人の悲しみを少しでも和らげてあげられるなら、すばらしいビジネスだと思います。
※私は、クローン技術には全く詳しくないので、果たして、死後に採取した細胞からクローンが作れるのかどうかはよく知らない。
もし、今の技術でできないなら、このビジネスはそもそも成り立っていない。
投稿者 suzuki : 2006年10月15日 08:52
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